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続いて訪れたのは「砂地獄」だった
どっかのサンシャインでも出てきそうな地獄だなぁ、と悠希は呑気に考えていた
ギブッ、ギブアッ...

そこにはすでに先客がいた
川野優雅&鷹見玲奈組が、すでに陣取っていた
見るとモニターがあって、「おいマジかよ」と悠希は思わず呟いてしまった

「砂地獄」
どうやらダート競馬の予想対決(単勝勝負。先着したほうが勝利)ということらしい
うわ、俺やりてえ...

優雅が予想をベットすると、対面のモニターに樋口のアップが写った
どうやら対決相手は樋口ということらしい。さすがカク地の王の異名を取る男。悠希は内心そう思ってちらっと笑った
やがて樋口も1頭指名し、間もなくファンファーレ。わざわざ障害のファンファーレを使うこだわりぶりに優雅も驚嘆
つか金かかってますね。さすが緑川軍団。そこに憧れるー(棒読み)

レースがスタートし、優雅が指名した馬は華麗に先行し、樋口が指名した馬は見事に出遅れという対照的なスタート
抑えきれない手応えで逃げ馬に並びかける優雅の指名馬に対し、樋口の馬は押して押してようやく後方3番手という展開
誰がどう考えても優雅の勝ちだなこれと思っていた矢先の出来事だった

優雅の馬から騎手が落馬した。もうあからさまなダイブで、八百屋さんとしか思えないそれ
優雅は激高するが、後の祭り(樋口指名馬はどん尻でのゴールイン)
ビリと競争中止のため、樋口の勝利というやるせなさすぎる結果により、優雅組は退場ということになった
それを見ていた悠希は、「あぶねー。俺じゃなくてよかったー」と急に他人事になって知らないふり

次のレースの”パドック”が始まったので、悠希は光を連れて気づかれないように退出した
「え、やらないんですか?」そう光がそう聞いてきたが、
「三十六計逃げるに如かず」悠希はそう言って一目散に逃亡した


別のブースでは「レジェンド地獄」が行われていた
壇上にいるのは天パの中年と、長髪の中年
彼らが言った言葉を聞き取るだけ、といういたってシンプルな「地獄」
なぜか参戦する羽目になっていた信嗣と蒼穹のペアは、二人の繰り出す滑舌の凄さにさすがに動揺していた

最初はサービスということで、「例題」だったのだがこれがもう酷い
まるで何を言っているかわからないそれなのに、二人は満足して笑い合っている状態
おい、これはさすがにまずいんじゃないか。信嗣は内心動揺していた

やがてその場に悠希と光、祐里と麗羅も到着した
レジェンド二人の厚意により、6人で解答してもいいよとのお察しが出たが信嗣がこの状況の悪さを説明していた
いつも強気な信嗣がそう語るくらいだからかなり難しいんだろうと思った悠希だったが、とりあえず声援を送ることにした
「大丈夫だ。お前には高木式ヒアリングがあるだろ」
まるで根拠のない声援だったが、どうやら信嗣はやる気になったらしい

「そうだったな。俺に任せとけ」
天にも昇る龍が如くそう叫んだので、信嗣は再び「うるさいわよ」の声と並行した蒼穹と麗羅による”Wインパクト”の餌食となっていた。めでたし、めでたし

閑話休題、どうやら出題が開始されていた
マジで何言ってるんだかワカリマセーン(原田芳雄ism)だった
悠希は祐里のほうを見て、互いに首を傾げていた。その横で一人、光だけは真剣な表情
ホントこの子は常にまじめで勉強熱心ですねえ、悠希が内心そう感じてニヤついていると祐里が唐突にスカルエンドをかけてきたので速攻ギブアップ
一瞬の油断も隙もあったもんじゃない

しかし、さすがの光もその会話にはちんぷんかんぷんなようでさすがに首を傾げていた
信嗣も早々に諦めたようで、蒼穹に「スマン」と何度も頭を下げていた
いや、諦めたらそこで蒼穹の裸エプロンだぞ...お前、ぶちぎれるだろ。これマジ
さすがに蒼穹もイラついてきたようで、信嗣に”WARスペシャル”を仕掛けようとしたその瞬間だった

麗羅が、「私わかったよ」と自信満々にフリップに答えを書いて信嗣に手渡した
マジかよ、そう思って信嗣はそのフリップを見てまた苦笑した
いいのか、これ? 信嗣は麗羅のほうを見ると、いつものようにニコニコ笑っているだけ
そしてそのフリップを蒼穹に見せると、「いいんじゃない。どうせわからないんだし」とクールに言ってのけた
”信嗣には責任を取ってもらう”
物騒なセリフも聞こえたが、それは聞こえなかったことにしておこう
そう、俺と吉川が悪い

やがて回答の時間になったので、信嗣はフリップを提示した
「あいつが死んだら、俺が墓にクソぶっかけてやる(長髪) インディーでトップと言われる人間の実力がわかった。 男だったら正面から向かって来い!(天パ)」
おいおい、何でこんなしっかり聞き取れてるんだよと悠希は思わず感心

祐里は思わず、麗羅の頭をよしよしと撫でていた。満更でもない様子で微笑む麗羅の顔がまた愛らしいとか思っていると、次は何されるのかわからないのでやめておいた
しかし信嗣が、「おい上野。お前羨ましいぞ。進藤、俺にもよしよししてくれ」
そう言って豪放に笑った直後、信嗣は蒼穹の”爆殺シューター”を喰らって再び轟沈していた。しかし懲りないなお前も...

しばしの経過後、どうやら回答は正解だったようだった
その「正解」すら聞き取れないレベルなのに、なぜ麗羅は完璧に当てたのか。その答えはもちろん...

やがてレジェンドたちから『印』が授与されて信嗣は満足気だったが、すぐにそれを麗羅に手渡した
まあ至極当然のことであるが、麗羅はかなり驚いた表情を浮かべていた
「信嗣、いいとこあるじゃん」
蒼穹がそう褒め、よしよしするかに見せかけての”カミゴェ”は凄まじい破壊力だった
信嗣、まだ生きてたら函館でアウォーデー

とにもかくにも、とりあえず「レジェンド地獄」は無事クリアとなった
残った地獄は...あと何個あるんだろ、知らね

まだまだ地獄めぐりは続いていく
ただし俺たちは絶対に負けない。緑川の陰謀に決して負けることはないのだから
俺たちは戦い始めたばかりだからな。この果てしない地獄巡りをよ


未完