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どのクラスにも仲のいいグループというのはあるもので、このクラスも大概ではない
がっしりとした体形の樋口智宏、身長は同じくらいだが印象はだいぶ違う感じの千葉安理、そして和屋平八
3者3様な様子だがとても仲がいい様子

樋口は熱血野球好きでギャンブラー、安理はサッカーと巨乳をこよなく愛し、和屋は動画編集を好む
趣味もそれぞれバラバラなのに、まあウマが合うとはそんなもん
今日も3人は教室の隅に集まり、何やら雑談を行っている
いつも変わらない日常

窓際の座席、後ろから2番目と一番後ろにいるのは本原悠と西崎竜
前髪ぱっつんのおかっぱ頭の悠と、長身痩躯の竜
クラスの喧騒の輪から離れて、2人だけ別の空間にいるかのように静かに佇んでいる
もうただそこにいるだけと言っても過言ではないくらい、身動き一つしないでただ席に座っているだけのそれ

前方の席で棚町弘嗣は意味もなく一人でポーズを決めている
ナルシスト気質で、天性のスター性も持つこの男はだれも止められない
「愛してまーす」

清野育彦は一人スマホを弄るのに夢中な様子だ
何でもいろいろ”掛け持ち”しているらしく多忙な模様。休み時間はもちろん、授業中にもLINEのやり取りは怠らない
さすがにパズドラでのやり取りはもう懲り懲りだと一人で言っていた。知らんけど

教卓の真正面、一番前の席で黙々と予習復習に余念がないのが水木光だった
才色兼備を地で行くクールビューティな光は、授業中の休み時間も勉学に励んでいる
校内一の才媛とも呼ばれ、明らかに学校のレベルを超えた知能を誇っている

そう言えば聞いたことがある(テリーマンism)
東大進学は間違いないと既にお墨付きを得ているとも、それどころかハーバードやケンブリッジでも行けるとか行けないとか
そんな光に話しかけ、一緒に参考書に目を通しているのが戸叶碧だった
二人は仲がいいのか、大体休み時間は一緒に居るケースが目立つ
学力は光には遠く及ばないのは当然だが、蒼も真面目で通っているし見た目は二人とも抜群という最強タッグ

190センチを超える長身の岡野和近は”フィアンセ”の八森鈴香とトレーニングに余念がない様子
まさに”汗の雨が降るぞー”というところ

尾木博美、笹野和展、大和義嗣のならず者3人衆はこれもいつものようにクラスの女子の”品評会議”を行っている
そう、変わらないことは大事

学校からの謎のお達し
”休み時間は教室から出ないでください”

それが意味すること、今は誰もまだ気づいていなかった

クラスきってのイケメンコンビ・黒潮次郎と真能英興は今日も自分磨きに余念がない
どう見てもイケメン枠ではない見た目な2人だが、人間言い続けることが大事
もう2人は「イケメン」以外の何者でもない

そんな時、樋口は野球部の仲間の刃長拓と視線が合った
背は小さく、野球センスもそんなに高くはないのだが、次期主将の呼び声が高いキャプテンシーを誇る刃長
樋口はまあ普通にクラスメイト、そして同じ野球部員としての付き合いがあるくらい
そんな刃長の様子が、今樋口は妙に気になった
いつも以上に落ち着き払っていて、何やら不気味さを覚えるくらいのそれ
ただの休み時間に見せる表情とはかけ離れたそれに、何かとてつもない違和感を感じた

その時は唐突に訪れる

顔だけは可愛いドラム缶体形の度羅務環奈が、不意に崩れ落ちるように倒れこんだのでクラスから悲鳴が上がった
悲鳴が上がったほうに樋口たちは視線を向けるが、それぞれ妙に眠気を覚えていることに気づいた

「おかしい。僕は10発撃っても眠くなることなんてないのに!」
そう言って安理はその場で眠り込んでしまった。そして和屋も「まだや、まだイースラーのマネをしていない...」と言い残してその場で爆睡開始
戸惑う樋口があたりを見渡すと、クラス中のほとんどが一斉に眠りの国へ旅立っているのが目に入った

「ツイハチの星ヒグチ ビッグなヒグチ 大きな期待に応えて 一発ホームラン ゴー!ゴー!ヒグチ!」
自らを鼓舞するようにそう歌った樋口だったが、やがてクラスのみんなと同様に眠りの世界へと誘われた

例に違わず、プログラム対象クラスに選ばれたクラスメイト達御一行様はどこからか現れた屈強な集団によってバスに放り込まれ、そしてそのまま船へ
そしてどこぞの島へと連れ去られていった