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夢を見ていた

いつの頃のだっただろう
目の前には幼い祐里がいて、なぜか泣きじゃくっている
そして幼いころの竜也の姿もあった

「どうして泣いてるの?」
心配そうに竜也が聞いても祐里は変わらず泣いたまま

「祐里ちゃん、これあげるから泣くのやめて」
幼い竜也は、ポケットから何かを取り出した



「...竜。竜、起きて」

体を揺さぶられるのを感じて、竜也は目を開けようとした
何だろう、この異常なまでの体の怠さは
つか、今何時だっけ。あれ、もしかして寝坊した??

いろいろ考えながら竜也が目を開けると、目の前にはよく見知った5人の姿
何かとてつもなく違和感を感じた、制服姿の5人。表情はそれぞれとても曇っている

「あれ、もしかして授業中に寝ちゃった?」
言いかけ、周囲の雰囲気が妙なことに気づいた

竜也はちょっと逡巡して、もう一度目前から見直してみる

目の前にいるのは祐里。普段見せない、何かを思案しているのか不安げな表情
首元には昨日プレゼントしたネックレスが見え、そして

なんだこれは?
思い、自分の首元にも手を当てつつ、他の4人の首元を見て衝撃を受けた


首輪

いつから俺らは小原と後藤になったんだ?
「星野、ハウス!」

閑話休題、竜也は光に視線を送ると、さすが才媛の光も状況が理解できてなかったようで黙って首を振っただけ
直は黙って項垂れているし、梨華と夏未は二人で手を取りつつ、今にも泣きそうな雰囲気すら感じられた

そして改めて感じた違和感
つか、ここ教室じゃなくね?

ようやく頭が働いてくると同時、クラスが妙に騒がしくなってきていた

取り乱した気配を見せる吉田八郎を、必死に宥める後藤和興。しかしその目は焦りの色が隠しきれない様子
下広島萌奈、萌美は二人で並んで窓を叩いていた、どうやら開かないようだった
つか二人とも恐ろしいほどブスやわ

ようやく落ち着いてきた竜也は、そんなことすら考え始める余裕が出てきた
とはいえ何が起きてるかわからない状況には変わらなかったが、とりあえずいつもの6人が揃っていることだけは心強い

女の子大好きな千原嵩は、どさくさ紛れにクラス委員長の友利悠衣に抱きつこうとしていたが
播磨安比奈にトラースキックを食らって轟沈。とはいえスカート姿での蹴りだったので、どうやら本人は満足した様子

西日暮里譜「瑠はいつものようにひたすらスマホを弄っている
周囲には誰もいなかったが、本人は気にする様子もなくスマホをただ弄っている。そこだけはいつもの空間

野々垣慎太郎はいつものようにただ泣き喚いていたし、小方晴恵もいつものように「脱出方法はありまぁす」と泣き叫ぶだけ
つか脱出方法? あぁ、やっぱ何かのアクシデントに巻き込まれてるんだな

だいぶ冷静さを取り戻しつつあった。そう、Tranquiloの精神がいまこそ大事だな

祐里の目がどんどん曇っていくのを感じたので、竜也は祐里の肩を軽く叩くと、いつもの見開きポーズで見据えた
「こんなときこそ、Tranquilo...あっせんなよ」

明らかに場にふさわしくない行動だとは思ったが、それで祐里の目にはちょっと笑みが浮かび
他の4人も呆れたような、ほっとしたような笑みが浮かんだ

居ても立ってもいられなかったのか、怪力コンビの岡田倶之、渡辺享明がドアに体当たりをしたがびくともしない様子
どうやらとんでもないことが起きているのは間違いない、そう確信した

巨漢2人が倒れこむのを見て、クラスの女子からは悲鳴が上がる
それを見て、呑気に「んほっ」てるのは山崎達也。彼もJK大好きでおなじみのハンサムである

そんな中、異色だったのは高坂聡美
見た目美人で中身残念とよく言われていた聡美だったが、どうやらその片鱗を出してきたのかも知れない
何事もないように、自分のカバンから何かを取り出して飲み始める
ちょっと気になったので、竜也が目を凝らしてよく見てみると(見開きポーズはしなかった)

どうやら、ビールを飲み始めた模様だった。発泡酒でもリキュールでもない、本物のビール
つかね、あんたも一応JKなんだから自重しなさい
ビール。。。祐里も飲みたいんじゃないかな。知らんけど

クラスきっての巨乳評論家・井場安理は、いつも通りの様子に見受けられた
何食わぬ顔で、”でかい”と評判のシーフ竹田こと竹田彩乃の一部をばれないように凝視していた
まさに、変わらないことは大事。間違いない

高宮裕太郎は、これまたいつも通り女生徒2人・里崎春賀と高橋利依を横に侍らかしていつもの卑猥な表情を受かべている
プレイボーイといわれているが、クラスで一番最初に登校しているとのもっぱらの噂
レスリング部の猛者でもある裕太郎
竜也は何度かしか話したことはないけれど、見た目によらず渋い声で嫌な雰囲気は感じなかった
とはいえ、真面目に話してたかと思えばすぐに「これマジ」の口癖で軽く流してしまうような人間ではあったが


そんな時だった


突如、外から何かの爆音が響き渡った

お゛お゛わ゛ら゛な゛い゛ゆ゛め゛を゛を゛を゛を゛を゛を゛ を゛を゛を゛を゛を゛を゛を゛

直後、けたたましいBGMとともにとてつもない轟音。ライトと共に、何かがこの場所に近づいてきた

それを受け、窓の傍にいたモナとモミーのブス双子などは一斉に離れたが
ただ一人、2年にして稜西高校の応援団長を務める木田基司だけはその場に取り残されていた

間もなく、爆音はどんどんと近づいてきて、そのままこのクラス(部屋)に突っ込んできた
木田基司は逃げる間もなく、そのまま戦車と窓の下敷きとなってこの世から存在を消した

爆音の主は戦車だった。部屋からは噴煙と悲鳴が上がり恐慌状態
矢先、戦車から一人の大男
サングラスをかけた、黒づくめの男が降り立ってきた
「何やってるんだ天山、オラエー?!」

男の怒声が部屋中に響き渡った

(残り35人)