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「お前ら、今日アレな」

岡田と呼ばれたタコ男がいきなりそう言い放って、満足そうに一人頷いている
もちろん樋口を含めた生徒たちは、意味が分からないので再びざわめき始める

それで一気に不機嫌そうな様子に変わった岡田は目で合図を送ると、兵士たちは一斉にマシンガンを生徒に向けたのでざわめきは一気に終息した

「これは大変なことやと思うよ。コレは教育やろなあ」
岡田はそう嘯くと、またさっきと同じように不敵な笑みを浮かべる
「そらそうよ。いろんなこと考えてやっているからアカン」

言って、岡田はハゲに状況を説明するように促した

以下はハゲの説明
・ここはどこかの島
・拉致されて運んできた(家族には説明済み)
・携帯電話の使用は不可
・最後の一人になるまでの殺し合いデスマッチ
・反則なしのノーDQマッチ
・武器、食料、水はこれから配布
・民家は住民退去済み。家を使うのも、店などにある食糧や道具を使用するのは可能
・首輪は禁止エリアと連動していて、間違って踏み込むと即爆破
・この”校舎”には兵士が大量にいる。生徒たちが束になって掛かってきても、返り討ちになるだけ
・なら殺しあえ。それで生き残れ

だ、そうだ。バカらしくて頭がムトちゃんになりそうだと樋口は内心自嘲する

つか、何で今更プログラム
とっくに廃止された歴史の遺物じゃねえか

ふざけるな! やめちまえ!などと生徒たちから暴言が飛び交い始めると、また岡田はしかめっ面をした

「なんやと、もう一ぺん言うてみぃ。誰に向かって言うとんや!」
一喝すると、再び兵士たちは銃口を向けて威嚇
静まったのを見て、再び岡田は続ける

「みももまめましたがみながえ。オァ〜そううすねあの〜まぁ・・・ずぅっとやね今まで教官やってても〜 。まぁあの〜、まぁ待ち遠しい、ねぇ。ほんと今日が待ち遠しいっていうか。まぁあの〜今日。みんなね、あの〜、元気な姿をでね、
ほんとあの〜あェ〜、まぁ、ねぇ。んヴぇまぁ〜〜、ね、今日一日で判断するんじゃないしィ〜ねぇ。ぇまぁ〜あの〜・・・なんていうか今日ちょっと感じましたね 」

何が言いたいのかさっぱりわからなかったが、言いたいことを言い終えた岡田はご満悦な様子
それで岡田はまたハゲに促すと、ハゲはまたマイクを手に講釈を始める

「それでは、出席番号順に出発していただきます。男子1番、愛内真誠!」
無駄にいい声でそうコールされた愛内は、わけもわからず起立した
いつの間にか運ばれていたリュックを手渡され、岡田に促されて愛内は教室を出て行った

「(次は)3分後な」
言って岡田は疲れた様子を魅せつつ、いつの間にか椅子に腰かけている

着々と生徒たちは出発して行っている
幸いと言ってはアレだが、樋口、千葉、和屋。出席番号はわりと遅めで固まっている
状況を整理する時間が樋口たちには与えられていた

「どうしよう。とりあえずここを出た後合流しようじゃないか」
安理がそう言うと、和屋はすぐに頷いたがちょっと思案顔
「とはいってもな、いろいろリスクはあるし...」
しかし樋口の考えは纏まっていた。そう、合流するのはもちろんだがその場所をどうするかについてもだ

「とりあえず西の端。それでいいだろ」
言って、樋口は不敵な笑みを浮かべた
今自分たちがどこにいるかはわからないが、とりあえず方角さえわかればそれくらいは何とでもなるはず
それを聞いて、安理と和屋は合わせ鏡のように頷いた。力強く

コールを受けた棚町は、いつものように右手でポーズを取って颯爽と出て行く
その3分後に色黒どころじゃない浪花が会見拒否をするようにさっさとクラスから退出

そしてその3分後、ついにその時が来た

「じゃあ、またあとで」
言って安理は立ち上がった
荷物を受け取ると同時、スマホから「アカツキ!」と鳴ってしまったので岡田とハゲから揃って障害者手帳が手渡されるサプライズが起きた
安理は教室を出る際、樋口と和屋のほうを見て力強く頷いてから出て行った

#が乱発されそうな友田もひっそりと出て行き、AVに出てそうな恵海も豪放に退出
西崎竜は普段と変わらないように静かに姿を消し、いつの間にか樋口の出番が近づいていた

「樋口くん、じゃあまた後で」
コールを受けた樋口に和屋がそう声をかけると、樋口は頷いてそれに応えた

「おぉもう。樋口、何を力んどるんや」
荷物を受け取った樋口に対する岡田のその目は優しかった