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和多田憲は18時の超野の放送を聞いていろいろ考えていた

せっかく落ち着いて過ごしていた今の場所が、19時から禁止エリアになるとのこと
面倒だが、移動しないといけない

「食べログ」を駆使したグルメ王でおなじみの和多田は、まあ俗にいう食通気取り
このプログラムにおいても、その「美食」を極める努力を怠っていなかった
ちょうど見つけたスーパーでいろいろカップ麺を仕入れ、その辺の家から盗み出したコンロとヤカンでお湯を沸かす

しょせん食べログ王なわけで、カップ麺でもうまいうまいと食べていた和多田だったが
このスーパーがあるエリアからおさらばは、ちょっと厄介なことであった

まあ、しゃあない。食後のデザートも必要だ
和多田は一人ほくそ笑んだ

そう、この食べログ王は「グルメ」がメインだったわけではない
あくまで、食後の「デザート」のほうがメインだったのだ

「グルメ」で釣って、女生徒を「トイレ」に連れ込むのが彼のメインディッシュ
頻繁に”食事”に行き過ぎるがため、「お小遣い」では足りなくなるため、バイトも欠かせなかった
最近見つけたいいバイトは、「ウニの殻剥き」
夜中2時から働き、朝は何事もなく登校、そして放課後は「グルメ王」。うん、我ながらハードな暮らしだ

そんな和多田も、御多分に漏れず”ロスインゴ”の3人をそれぞれナンパしたことがあった
光は冷たく一蹴し、梨華も得意の死んだ目で無言で撃退。そして祐里は
「ご馳走してくれるの? なら杉浦も一緒ねー」
と笑顔で返されたので、和多田は「また今度なー」と言ったっきりそれで終わった

そういえば、河辺夏未にも容赦なく断られたなと和多田は思い出していた
クラス委員長の友利悠衣もなかなか手厳しいやつだったわ。あいつらはホント容赦ない
少しは新田を見習ってほしいものだわ。まあ、1回だけでもうお腹一杯になったがね、あいつには

まあ、いろいろ考えていても仕方ない。どこか行くか

和多田は思って立ち上がった瞬間、遠目に人影を感じた
暗闇まではいかないが、だいぶかげってきているので誰かははっきりと判別できなかったが
シルエット的には女子だったので、内心テンションが上がった
そして、その人影はどんどん和多田のほうへ近づいてきた

「みくちゃんじゃねーか」
和多田は呟くと、新田美玖は「見ぃつけた」と嬉しそうな表情を浮かべた


新田美玖。AV出演でおなじみの女生徒
完全に”バレている”にも関わらず、「またそれー?w」と笑い飛ばす強靭なメンタルの持ち主
笹唐などが”AV"のパッケージを渡すと、サインをするファンサまでする豪傑であった

その新田は、このプログラム中ずっと和多田を探していた
その理由はもちろん。。アレのためだ

「グルメ王」で"自称テクニシャン”の和多田とプレイをする
そのためだけに得意の豚トリュフを駆使してようやく探し当てたという次第だ

「和多田くん、ヤろ」
いきなりのお誘いだった

さすがAVのお姉さん。。内心感心しつつ、和多田は首を振った
「にゃ、その前に移動しないとな。ここ禁止エリアなるからさ、イク前に逝っちゃうだろ」
和多田が得意の下ネタを駆使すると、新田は満更でもなさそうな表情を浮かべた

そして二人は手を繋ぎ、歩き出そうとしたその瞬間

急に新田が和多田の手を離した。いや、離れたというのが正しい表現かも知れない

「ん、みくちゃんどうし..」
和多田は言いかけ、そして驚愕した

いつの間にか、後ろに長身の女生徒が立っていた
彼女は派手に返り血を浴びているにもかかわらず、柔和な表情を浮かべている
そして横には頭を潰された新田美玖が横たわっていた

直後その女生徒、豊田愛季がまた右手を振り落としてきたのを和多田は瞬時に躱した
「おいおい、何なんだよこいつは」
思わず呟き、和多田は猛ダッシュで逃げだした
それを豊田は、「ほっこりー」と言いつつ、笑みを浮かべたまま追いかけ始めた

「おい、追ってくるんじゃねーよ。まじ怖ぇー」
和多田は必死に逃げた
ゆっくりと笑いながら追いかけてくる豊田に対し、もう和多田は生きた心地がしなかった

しばらく走り、だいぶ距離を稼いだ和多田は、簡易トイレを発見した
ちょうどいい、ビビッて漏れそうだったしな。危うく徳川家康になるとこだったわ

和多田がズボンを下ろし便座に座った直後、一瞬トイレが揺れた気がした
「ん?風か」

直後、今度はトイレの上に3度ほど強い衝撃音が何度か響いた
「マジかよ。こいつ手当たり次第か?」


和多田は祈った。頼む、俺がここにいるのには気づかないでくれと

そしてその祈りが通じたのか、戸を開けられる気配はなかった
「...助かったのか?」

和多田が安堵して、用を足し始めた瞬間
何かが3回ほど簡易トイレにぶつかった音がした

「ん?」

直後、簡易トイレは大爆発を起こした。呆気なく和多田憲はそのまま死んだ


先ほど入手した手榴弾3つを、羽生田ばりの強肩でぶつけて豊田愛季はそのまま姿を消した
今まで同様、「へいじゅー、どめぎばぁ」と楽しそうに歌いながら



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